XPスタイルをやめよう

1.はじめに

みなさんは今までに「Windows®XP」を使ったことがありますか? まだ使ったことがない方でも最近はソフトの説明書に「XPの例」ということでXPの画面を見たことがあるのではないでしょうか? そこで聞きますが、今までのWindowsシリーズとXPの最大の違いは何でしょうか? 確かにいろいろと考えられます。 例えば、システムの安定性がかなり向上したとか、マルチメディアやネットワーク系統が強くなったとか……。 しかし、一番の違いはやはりなんといっても「XPスタイル」と呼ばれるものです。 このXPスタイルは非常に視覚的で見やすいです(図1)。

XPスタイルの例 クラシックスタイルの例
図1:XPスタイルの例 図2:クラシックスタイルの例

しかし私はこのXPスタイルを使っていてあることを感じました。 それは動作が鈍くなることです。 そこでここではその動作が鈍くなることについて検証していきます。

2.動作速度の実験

いくら私が「XPスタイルは動作が鈍い!」と言ったところで、事実がなければ松本サリン事件の河野さん状態(注:松本サリン事件で日本社会によって濡れ衣を着せられた人)になってしまいます。 なのでここでは実際に実験を行って、どのくらい鈍いのかを示してみます。

実験の仕方は次の通りです。

  1. あらかじめ起動に要する時間を計測するプログラムを作ります。 そのプログラムはぞーき・ばやし(A)でダウンロードできます (「起動時間計測プログラム」がこのプログラムです)。
  2. そのプログラムをCPU使用率2%のときに起動させ、表示される結果を記録します。 CPU使用率は「タスクマネージャー」(「Ctrl」+「Alt」+「Del」を同時に押すことで起動するWindows標準付属ソフト)によって判断します。
  3. 2.をXPスタイルのとき、クラシックスタイル(図2)のときでそれぞれ5回繰り返します。
  4. それぞれのスタイルの結果の5回の実験の結果の平均を小数点第4位を四捨五入して出す。

実験環境は次の通りです。

OSMicrosoftWindowsXP HomeEdition Version2002 ServicePack1
CPUIntelPentiumIIIプロセッサ 699MHz
メモリ256MB
日時2003年10月25日23時56分〜翌26日0時10分

実験結果は次の通りです。

XPスタイル
起動開始時間起動終了時間起動に要する時間
23時56分35.376秒23時56分35.436秒0.060秒
23時57分04.347秒23時57分04.407秒0.060秒
23時57分51.255秒23時57分51.305秒0.050秒
23時58分23.781秒23時58分23.852秒0.071秒
23時58分51.281秒23時58分51.341秒0.060秒
平均0.060秒
クラシックスタイル
起動開始時間起動終了時間起動に要する時間
0時6分56.258秒0時6分56.308秒0.050秒
0時8分00.280秒0時8分00.340秒0.060秒
0時8分29.422秒0時8分29.482秒0.060秒
0時9分01.418秒0時9分01.468秒0.050秒
0時9分31.562秒0時9分31.612秒0.050秒
平均0.054秒

3.実験結果の考察

実験の結果、XPスタイルとクラシックスタイルでは実験用プログラムを起動させるのに平均0.006秒の差があることが分かりました。 「たった0.006秒?」と思う方がほとんどだと思います。 しかし、問題は起動させるソフトがブラウザのような、起動にかなりの時間がかかるものだったときです。 これは自分の感覚なのですが、このようなソフトを起動させるときは人間にも十分分かるような差が生じます (これは上のような根拠がないので、実際に自分で確かめてから判断してください)。 また「時間がかかる」ということは「負担がかかる」ということを意味しています。 これはプログラミングをするには危険なことです。 普通のソフトは既に動作チェックを行っているのでソフトが暴走することはほとんどありません。 しかしプログラミングは違います。 プログラミングでミスしないということは100%ありません。 そのミスの中には無限ループ(AB講座2-2の【注意】を参照)などのコンピュータに過度の負担をかけるものが多数あります。 で、ここからがポイントなのですが、これらのミスをしてしまったときに、コンピュータに既に負担がかかっていた場合どうなるでしょう? 答えは簡単です。 ハングアップする可能性が高くなります (ハングアップとはコンピュータに負担がかかりすぎてウンともスンともいわなくなってしまう状況のことです)。 ハングアップしてしまうと「今までに編集したデータが水の泡になる」「強制終了をせざるを得なくなる」などの嫌なことが起こってしまいます。 なので少しでもコンピュータにかかる負担を軽くしておく必要があるわけです。 そのためにできることは何でしょうか? それが「XPスタイルをやめる」ことなのです (あくまで方法の一手段です)。

4.まとめ

今まで述べてきたとおり、XPスタイルをやめることでコンピュータにかかる負担を軽減することができます。 やめるかやめないかを決めるのはあなた自身ですが、少なくとも私はやめることをお勧めします。 どうしてもやめたくないときはスペック(コンピュータの性能)を上げたほうがいいかと思います。 (私ぐらいの環境程度ではXPスタイルにした場合、負担がかかります。) どっちにしろハングアップの危険性は避ける必要があります。


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